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皆さんこんにちは。ウラシコチャンネルです。今日は「空き家の管理は悩みの種」というテーマでお話しします。

私たちウラシコにも「いっそ更地にしてすっきりしたい」というご相談を多くいただきます。確かに更地にすることで土地が売りやすくなるといったメリットはあります。ですが、安易に更地にしてしまうと、固定資産税の増加や解体費用など、見落としがちなデメリットも存在します。

本来、解体業者であれば「更地化」を勧める立場かもしれません。ですが、私たちウラシコはお客様のことを第一に考え、誠実に正直にお伝えするようにしています。そのため、むやみに更地にすることはおすすめしていません。

そこで今回は、更地化する前に知っておくべきポイントや、メリット・デメリットについて、解体業者の立場から正直に解説していきたいと思います。

更地にすることのデメリット

更地にすることのデメリット

まずは、更地にすることのデメリットからお話しします。大きく分けると次の3つです。

  • 1つ目は、固定資産税が高くなること。
  • 2つ目は、解体費用がかかること。
  • そして3つ目は、売却価格が必ずしも上がるとは限らないことです。

何も考えずに解体してしまうと、「税金と管理だけが増える」という最悪のパターンになることもあります。

更地にすると固定資産税が増える

更地にすると固定資産税が増える

「空き家を放置するのも危ないし、更地にした方がいいのかな…」と考える方も多いと思いますが、実は固定資産税が増えるのは本当なんです。

空き家を解体して更地にすると、固定資産税が一気に跳ね上がるケースがあります。場合によっては、なんと最大で6倍になることもあるんです。これは注意が必要ですよね。

「どうして建物を壊しただけで税金がそんなに上がるの?」と思うかもしれません。その理由は「住宅用地の特例」にあります。

この特例は、家が建っている土地に対して固定資産税と都市計画税を大きく軽減する仕組みです。具体的には、建物がある場合、固定資産税は1/6に、都市計画税は1/3に減額されます。

ところが建物を解体して更地にすると、この特例が使えなくなってしまいます。特に都市計画税は、市街化区域にある土地だと満額で課税されるので、ここは見落としやすい大きなポイントです。

解体工事費用がかかる

解体工事費用がかかる

更地にするデメリット、2つ目は「解体そのものに費用がかかる」という点です。木造住宅であっても100万〜150万円前後はかかりますし、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート造)になると、現場の状況によっては数百万円かかるケースもあります。

さらにアスベストが見つかれば、追加の費用が発生する可能性もあります。自治体によっては補助金を利用できる場合もありますが、全額をカバーできるわけではありません。ある程度の出費が発生することは、しっかり想定しておく必要があります。

更地にしたからといって必ず売れるわけではない

そして3つ目のデメリットは「更地にしたからといって必ず売れるわけではない」ということです。見た目がすっきりするので売れやすそうに思われがちですが、実際には建物付きのまま売れるケースも多くあります。いわゆる「古家付き土地」や「現況渡し」という形です。

更地にしたからといって必ず売れるわけではない

最近では、古い家でも安く手に入れたい方や、レトロな住宅をリノベーションしたい方など、あえて古い建物が残っている物件を探す人も増えています。現況のまま売れば、売主が解体費用を負担せずに済み、買主が自由にリフォームや解体を選べるというメリットもあります。

また、現況で売却する場合でも、売主が事前に想定される解体費用を提示したり、買主側が実費を負担するというケースもよくあります。このように、売却を予定している場合は、不動産会社や解体業者に事前に相談し、「現況のまま売るか」「更地にして売るか」を慎重に判断することが大切です。

更地にするメリット

更地にするメリット

更地にするデメリットについてご理解いただけたかと思います。ただ、実際には相続後すぐに更地にされる方も多いですよね。では、更地にするメリットとはどのような点なのでしょうか。ここからはそのメリットを解説していきます。

更地にする主なメリットは次の3つです。

  • 1つ目、建物の管理が不要になること。
  • 2つ目、売却や活用の幅が広がること。
  • 3つ目、近隣トラブルのリスクを減らせること。

順番に解説していきます。

建物の管理が不要になる

建物の管理が不要になる

更地にすれば、老朽化による倒壊や火災のリスクをゼロにできます。特に築年数が古く、長年放置されている空き家は、地震や台風といった自然災害で崩れる危険性があるほか、不審火や放火のリスクも高まります。

もし事故や火災が発生して近隣に被害が及べば、所有者としての責任が問われる可能性もあります。老朽化が進んだ空き家を更地にすることで、そうした不安を解消できるのは大きなメリットといえるでしょう。

売却や活用の幅が広がる

売却や活用の幅が広がる

建物が残っていると「解体が必要」と判断されて購入を見送られるケースがありますが、更地であれば「すぐに建築できる土地」としてスムーズに売却できる可能性が高まります。

さらに将来的には駐車場やアパート用地として貸すなど、多様な活用方法も選べるようになります。柔軟に土地を活用したい方にとって、更地化は有効な選択肢になります。

近隣トラブルのリスクを減らせる

近隣トラブルのリスクを減らせる

放置された空き家は雑草が伸び放題になったり、不法投棄のゴミが置かれたり、害虫が発生したりするケースが少なくありません。これらは近所からの苦情やトラブルの原因になりやすく、実際に空き家によるご近所トラブルは年々増加して社会問題になっています。

更地にしておけば、そうしたリスクを未然に防ぎ、ご近所との関係や土地のイメージを良好に保ちやすくなるのもメリットです。

更地化の判断基準

更地化の判断基準

更地にするメリット・デメリットを理解したうえで、「では実際にどう判断すればいいのか?」というポイントを最後に解説します。判断基準は大きく2つです。

  • 1つ目は、特定空き家に指定されるリスクがないか。
  • 2つ目は、土地を売却または建て替える予定があるか。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

特定空き家について

特定空き家について

「更地にすると固定資産税が上がるから、とりあえず空き家のままにしておこう」と考える方もいらっしゃいます。ですが、適切に管理されていない空き家は「特定空き家」に指定されるリスクがあります。

老朽化が進み倒壊の危険があるような場合、行政から解体の勧告・命令を受け、従わなければ強制執行される可能性もあります。その際には最大50万円の過料が科されることがあり、最終的に行政が解体を行い、その費用が所有者に請求されるケースもあります。

さらに特定空き家に指定されると、「住宅用地の特例」が使えなくなり、建物が残っているのに更地と同じ水準まで固定資産税が跳ね上がってしまうという大きなデメリットもあるんです。ですから、「空き家を放置し続ける」というのはあまり良い選択ではありません。

土地の売却や建て替え予定

土地の売却や建て替え予定

2つ目の判断ポイントは、今後その土地をどうする予定があるかという点です。すでに売却の話が進んでいる場合や、新築・建て替えを考えている場合は、更地にすることが前提になるケースが多いため、解体しておく価値があります。

一方で、具体的な計画がまだなく「数年後にどうするか未定」という状態で更地にしてしまうと、固定資産税や維持管理の負担だけが先に発生してしまいます。ですから「すぐに使う予定があるかどうか」は非常に重要な判断材料となります。

また、更地にした土地には住宅以外の活用方法もあります。例えば「コインパーキング」として貸し出す方法です。1台あたり月3万円で5台分を貸せば、毎月15万円の収入になります。これで当面の固定資産税をカバーするケースも少なくありません。

その他にも、自分で建物を建てなくても、企業や個人に借地として貸し出すといった活用方法も考えられます。大切なのは、更地にした後の活用方法をあらかじめ検討しておくことです。売却にするのか、貸し出すのか、あるいは将来的に建築を考えるのか――事前に不動産会社や専門家に相談し、計画を立てておくことで、無駄な負担を避けられます。

更地化のまとめ

更地化のまとめ

メリット・デメリットを踏まえて、最後に 更地化を検討する際に押さえておきたい5つのポイント をまとめます。

固定資産税の軽減特例がなくなる
更地にすると特例が使えなくなり、税額が大幅に上がる可能性があります。

売却価格は更地よりも建物付きの方が有利な場合もある
必ずしも更地化が高値売却につながるわけではありません。

倒壊リスクや近隣トラブルを回避できる
老朽化や放置によるリスクをなくせるのは大きなメリットです。

「とりあえず解体」ではなく計画性が大切
活用計画や売却予定、補助金制度などを考慮した上で判断しましょう。

放置はNG、特定空き家リスクに注意
適切に管理せず放置してしまうと、特定空き家に指定され、強制解体や課税増額のリスクがあります。

このように、税金・解体費・土地活用の見込みをしっかり整理したうえで、納得できる判断をすることが大切です。

最後に

名古屋の空き家管理の相談先

ウラシコでは、空き家の管理や解体補助金に関する 無料相談 も受け付けています。

「祖父母から相続したけれど、この建物どうしよう…」
「土地を持っているけど将来が不安…」

そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。もちろん、解体工事のお見積もりやご依頼も承っております。同業者の方からのご連絡も歓迎しています。