家の解体工事を行う際、「解体業者に依頼すれば、あとはすべて任せて大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。しかし、実際には施主様自身が準備・確認しなければならないこともあります。

解体工事をスムーズに進め、近隣トラブルや追加費用などを防ぐためには、工事前から完了後までの流れを把握しておくことが大切です。

今回は、家の解体工事で施主様がやるべきことを、時系列に沿って分かりやすく解説します。

解体工事を依頼する前にやるべきこと

解体前残置物

解体する建物や敷地の状況を確認する

まずは、解体する建物の状況を確認しましょう。建物の構造や広さだけでなく、敷地の境界、隣接する建物との距離、前面道路の幅なども重要です。

特に、隣家との距離が近い場合や、重機が入りにくい場所では、通常よりも慎重な作業が必要になることがあります。

土地の境界が不明確な場合は、隣地とのトラブルを防ぐためにも、必要に応じて測量や境界の確認を行いましょう。

解体業者から複数の見積もりを取る

解体工事を依頼する際は、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較することをおすすめします。

確認したい主な項目は次のとおりです。

  • 解体工事の範囲と作業内容
  • 廃棄物の収集・運搬・処分費用
  • 足場や養生シートの設置費用
  • 重機の搬入・搬出費用
  • 整地費用
  • 追加費用が発生する条件

見積金額だけで判断するのではなく、工事内容や廃棄物の処理方法まで確認することが重要です。

また、解体工事を依頼する業者が、必要な建設業許可または解体工事業登録を有しているかも確認しましょう。

解体工事が始まる前に施主がやるべきこと

家の中にある家具や不用品を処分する

解体工事が始まる前に、建物内に残っている家具、家電、衣類、日用品などを整理しておきましょう。

これらの残置物は、原則として施主様が事前に処分する必要があります。解体業者に処分を依頼できる場合もありますが、別途費用が発生することがあります。

特に、テレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電製品は、家電リサイクル法に基づいた処分が必要です。

不用品をそのまま残しておくと、解体工事の費用が高くなる可能性もあるため、早めに整理しておきましょう。

電気・ガス・水道などの停止手続きを行う

解体工事の前には、電気・ガス・電話・インターネットなどの停止や撤去について、各契約会社へ連絡する必要があります。

特にガスは、事故防止のためにも事前に閉栓や設備の撤去について相談しておきましょう。

水道については、解体工事中に散水などで使用する場合があります。工事業者と相談し、工事完了まで使用できるようにするのか、停止するのかを決めてください。

ライフラインの停止時期を間違えると、工事に支障が出ることもあるため、必ず解体業者とスケジュールを確認しましょう。

建設リサイクル法の届出を確認する

一定規模以上の解体工事では、建設リサイクル法に基づく届出が必要です。

一般的な住宅の場合、床面積の合計が80平方メートル以上の建物を解体するときが対象となります。原則として、工事着手の7日前までに届出を行わなければなりません。

この届出は施主様(発注者)が行うものですが、解体業者に委任して代理で手続きを進めてもらうこともできます。

業者に任せる場合でも、届出が必要かどうか、誰が手続きを行うのかを事前に確認しておきましょう。

アスベストの事前調査について確認する

建物の解体工事では、アスベスト(石綿)が使用されている可能性があります。

現在は、解体工事を行う前に、資格者などによるアスベストの事前調査が必要です。調査結果によっては、通常の解体工事とは異なる作業方法や追加費用が必要になる場合があります。

施主様は、業者から調査結果や必要な対応について説明を受け、アスベストが見つかった場合の工事内容や費用を確認しておきましょう。

解体工事中に施主が確認すること

近隣住民への挨拶や説明

解体工事では、騒音・振動・粉じん・工事車両の出入りなどによって、近隣住民に影響を与えることがあります。

工事前には、解体業者と相談しながら近隣への挨拶や工事内容の説明を行いましょう。

工事期間や作業時間、連絡先などを事前に伝えておくことで、トラブルの予防につながります。

工事の進捗状況と追加費用を確認する

工事中は、業者から進捗状況の報告を受け、契約した内容どおりに進んでいるかを確認しましょう。

地中からコンクリート基礎や古い浄化槽、埋設物などが見つかった場合には、追加工事や費用が発生することがあります。

その際は、作業内容や追加費用の内訳について説明を受け、納得したうえで進めてもらうことが大切です。

解体工事が完了した後に施主がやるべきこと

建物滅失登記を行う

建物の解体が完了したら、法務局で建物滅失登記を行います。

登記されている建物を取り壊した場合、原則として解体完了から1か月以内に申請する必要があります。手続きは土地家屋調査士などに依頼することも可能です。

また、未登記の建物についても、市区町村への家屋滅失に関する届出が必要になる場合があります。自治体に確認しておきましょう。

解体後の土地の状態を確認する

最後に、建物が撤去され、敷地が契約どおりに整地されているかを確認しましょう。

地中にコンクリート片や廃材が残っていないか、敷地の境界や隣地に問題がないかなども確認しておくと安心です。

また、解体業者から工事完了の報告や、建設リサイクル法の対象工事であれば再資源化等の完了報告を受け、必要な書類を保管しておきましょう。

家の解体工事は施主と解体業者の連携が大切

家の解体工事では、業者に任せるだけでなく、施主様自身が事前準備や必要な手続きを把握しておくことが重要です。

特に、残置物の処分、ライフラインの停止、建設リサイクル法の届出、アスベスト調査の確認、建物滅失登記などは忘れないようにしましょう。

また、工事中も近隣への配慮や追加費用の確認を行うことで、トラブルを防ぎやすくなります。

解体工事を安心して進めるためには、信頼できる解体業者を選び、施主様と業者がしっかり連携することが大切です。事前に必要な準備を整え、納得できる解体工事を進めていきましょう。