「子どもが独立して部屋が余ってきた」「掃除が大変」「老後を見据えて暮らしやすい家にしたい」そんなご家庭に注目されているのが減築リフォームです。
とくに名古屋市のような都市部では、コンパクトで快適な暮らしに価値を見いだす家庭が増えており、減築リフォームが注目を集めています。しかし、減築リフォームとはどのようなものなのかイマイチ分からないという方もいるのではないでしょうか。
今回は減築リフォームとは何か、費用の目安やメリット・デメリット、気をつけたい注意点まで、初めてリフォームする方にもわかりやすく解説します。
減築リフォームとは?
減築リフォームとは、その名の通り家の一部を取り壊して、建物の床面積を減らすリフォームのことをいいます。使っていない部屋やスペースをなくして、暮らしやすいサイズの住まいに整えることを目的としています。
例えば「2階を取り壊して平屋にする」「使っていない部屋を除いてコンパクトに」「車庫を撤去して庭にリフォームする」といった施工が代表的です。
子育て期には必要だった広い空間も、ライフステージが変わることで「持て余し空間」になりがち。減築によって管理の手間やコストを減らし、快適さをアップさせることが可能です。
減築リフォームの費用相場
リフォームをする上で気になるのが費用面。減築リフォームは、内容によって価格が大きく変動しますが、一般的な相場は以下のとおりです。
施工面積 | 費用相場 | 施工内容 |
1㎡ | 約10万〜15万円 | 標準的な住宅の解体や内装リフォーム など |
1㎡ | 約20万円 | 複雑な構造の住宅の解体や耐震補強 など |
一般的な住宅の約10㎡(6畳間)分を減築する場合は、100万〜150万円程度が目安です。
しかし、古い木造住宅の解体や耐震補強が必要な場合には、相場よりもコストがかかることもあります。そのため、現地調査と見積もりで正確な費用感を把握することが重要です。
減築リフォームのメリット
実際に減築リフォームを行うことで、どんな良いことがあるのでしょうか?家族にも家計にも嬉しいポイントを3つご紹介します。
家事の負担が減る
減築リフォームによって家全体の面積がコンパクトになることで、掃除や片づけの手間が格段に少なくなります。
使っていない部屋を減らすことで、毎日の掃除ルーティンも短縮でき、洗濯物を干す・取り込む・収納するといった家事動線もスムーズになります。とくに共働きや子育て世帯では、限られた時間を有効に使えるのは大きなメリット。
リビングや水回りなど、よく使う空間を集約しやすくなるので、家族のコミュニケーションも自然と増え、暮らしの満足度がアップします。
光熱費の削減が期待できる
家の面積が小さくなると、冷暖房に必要なエネルギーも少なくて済むため、光熱費を抑えやすくなります。
2階建てから平屋にした場合、2階部分への空調が不要になるだけでなく、気密性・断熱性の高い仕様にすればさらに効果がアップ。特に夏場の暑さの厳しい地域では、空調の効率化は大きな節約につながります。
また、部屋が少ないぶん照明の数も減らせるなど、電気代の節約にも効果的です。毎月の出費を抑えることができ、家計にもやさしいリフォームといえます。
固定資産税の負担を軽減できる
建物の延べ床面積が小さくなると、固定資産税の評価額が下がる可能性があります。これは、建物の規模や構造が評価基準に影響するためで、減築によって課税対象となる部分が減少することにより、毎年の税負担が軽くなるのです。
ただし、必ずしも全てのケースで固定資産税が下がるとは限らず、評価のタイミングや自治体の基準にも左右されます。そのため、事前に市区町村の担当窓口や専門家に相談することが大切です。長期的な視点で見ると、固定費の軽減は大きなメリットと言えるでしょう。
減築リフォームのデメリット
もちろん、減築リフォームにはいくつかの注意点やデメリットもあります。リフォーム後に後悔しないためにも、事前にしっかり把握しておきましょう。
仮住まいが必要になる場合がある
減築リフォームでは、構造に関わる大規模な工事が必要になることもあります。そのため、工事期間中に自宅での生活が難しくなり、一時的に仮住まいへ引っ越す必要が生じることがあります。
仮住まいの手配や引っ越しの手間、家具・家電の移動なども負担となり、費用もかかります。小さな子どもがいる家庭や高齢の方と同居している場合には、住環境の変化がストレスになることも。
事前に仮住まいの準備が必要か、スケジュール調整や費用計画も含めてしっかり検討しておくことが重要です。
工事費用が高額になりやすい
減築リフォームは、単純に部屋をなくすだけで済むわけではありません。解体工事に加えて、構造補強・断熱材の施工・外壁や屋根の修復など、多くの工程が発生します。
そのため、1㎡あたりの費用は一般的なリフォームに比べて高くなりがちです。さらに、複雑な工事内容や立地条件によっては20万円/㎡以上になるケースも。
都市部では、工事費や人件費も高くなる傾向があるため、予算には余裕を持って計画を立てることが大切です。
登記申請の手間がかかる
大幅な減築を行った後には、「建築確認申請」の手続きが必要です。これは、建物の構造や安全性に関わる変更を行う際に法律で定められている手続きで、未申請のまま工事を進めると違法建築とみなされるリスクがあります。さらに、工事完了後は「建物表題変更登記」などの登記手続きも必要です。
これらの作業は専門的な知識が必要なため、司法書士や土地家屋調査士に依頼するのが一般的であり、その分の費用も発生します。
手間と費用がかかるため、あらかじめ工程や予算に組み込んでおくことが重要です。準備不足によるトラブルを防ぐためにも、事前相談やスケジュール管理が欠かせません。
減築リフォームの注意点
減築リフォームで失敗しないためにも、3つの注意点を知っておくことが大切です。
固定資産税が必ず減るわけではない
「減築=固定資産税が下がる」と思われがちですが、減築しても構造や評価方法によっては税額が変わらないこともあります。税額は自治体の評価基準に基づいて決まるため、管轄の市役所や専門家へ事前確認しておくと安心です。
耐震性能が落ちる可能性がある
家のバランスが崩れると、建物全体の耐震性能に悪影響を及ぼすことがあります。例えば、床面積を変更した場合、建物のバランスが変わり耐震性能の低下が考えられます。そのため構造計算に基づいた施工が必須です。
一定以上の安全性を確保するためには、実績や知識が豊富な信頼できる建築士や工務店に依頼しましょう。
生活音が気になることがある
コンパクトな造りになることで、生活音が気になりやすくなる場合もあります。たとえば、間取りが変わって壁が薄くなったり、部屋と部屋が近くなったりすることで音の響きが気になる方も。遮音材の導入や間取り設計に工夫を入れることで、こうした悩みは解決できます。
まとめ
減築リフォームは、今のライフスタイルに合わせて暮らしやすい家に整える新しいリフォームのカタチです。核家族化が加速する現代は特に、コンパクトな住まいへの関心が高まっています。
減築リフォームをすることで、家事や生活費の削減など生活の中でのメリットはあるものの、仮住まいや工事費用など金銭的に大きな負担がかかる可能性が考えられるのです。
これからの暮らしを見直したいと思っている方は、まずは相談や現地見積もりを活用して、減築リフォームについて、プロに相談をしてみましょう。