みなさんはミンチ解体という言葉を聞いたことがありますでしょうか。ミンチ解体とは、建物の解体の時の解体方法の一つですが、違法工事であるという話を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。今回は、ミンチ解体について説明していきます。
ミンチ解体とは

「ミンチ解体」とは解体工事の工法の一つで、建築物に含まれるガラスや金属などの危険物も含めて、建設資材をまとめて壊してしまう工事のことです。解体工事によって出た廃棄物を分別することなく収集車に積み込んでいたことから、「混合解体」と呼ばれることもあります。
「ミンチ解体」では足場が必要ないため、工期が短く費用が抑えられ、禁止される前までは解体工事としては一般的な解体工法でした。しかし、「ミンチ解体」では解体した廃材の中にガラスや金属などの危険物やアスベストなどの人体に有害なものが含まれる危険性があるため、現在は「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)において禁止されています。
万一、建設資材を種類ごとに分けながら解体していく分別解体工事ではなく、ミンチ解体を行った場合には、50万円以下の罰金が科されます。この罰則は、解体工事業者だけでなく、解体を依頼した施主にも適用されますので、解体工事を依頼する場合には十分に注意が必要です。
ただし、通常の工法で解体工事を実施すると倒壊の危険性がある場合など、作業の安全性を最優先にするために自治体からミンチ解体を指示されることがあり、この場合は例外的にミンチ解体を実施することになります。
ミンチ解体が禁止された背景
建築物にはガラスや金属、木材、タイルなど様々な材料が使われており、ミンチ解体を行った場合には、建設資材や廃棄物が混ざってしまうことでリサイクル可能な物が含まれているにもかかわらず、埋め立て処分するしかない状況でした。そのため、廃材を受け入れる中間処理施設がひっ迫しており、不法投棄が後を絶たない状態でした。
また、「ミンチ解体」をしてしまうと、廃棄物にアスベストが混ざってしまう危険性もあり、解体作業者だけでなく、廃棄物を処分する人や埋立地の作業者などへの健康被害にも問題がありました。このような背景があり、建設リサイクル法が施行され、原則として「ミンチ解体」は禁止され、現在では建設資材廃棄物を種類ごとに分別することが義務付けられています。
建設リサイクル法について

建設リサイクル法は、2000年年5月31日に公布、2002年に施行された法律で、正式名称は「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律」です。建設資材の分別、建設資材廃棄物の再資源化を義務付けるために制定され、以下に挙げる資材が分別解体と再資源化の対象となっています。
- コンクリート
- コンクリート及び鉄から成る建設資材(プレキャスト鉄筋コンクリート板など)
- 木材
- アスファルト
また、建設リサイクル法では、解体業者に対して建設業許可の取得と解体工事業登録の義務付けに関しても規定しており、各都道府県知事による解体工事業の登録がない場合は、解体工事を行うことができません。
また、解体工事の依頼を請けた解体業者は、工事の発注者である施主へ再資源化完了を書面で報告し、施主は解体業者からの再資源化の完了報告を各都道府県知事に申告する必要があります。
ミンチ解体の罰則

ミンチ解体を実施した場合には、違法行為の重大さや業者の対応姿勢、違反の繰り返し有無などによって解体業者に対しては以下のような罰則が課されることになります。
- 是正命令・業務停止命令
- 50万円以下の罰金
- 行政処分、許可取り消し
- 違反内容の公表
では、工事を依頼した施主の責任はどのように考えられているのでしょうか。不法投棄やミンチ解体など、施主が知らないところで行われた行為に関しては、施主が責任を問われて罰せられることはありません。それは解体業者側の責任であり、施主のあずかり知らぬところで行われていた事象として扱われることになります。
また、解体工事で発生した資材や廃棄物に関しては、解体業者と運搬業者、さらに処理業者で適切に処分とリサイクルをする責任があると定められていますので、施主は業者に解体工事を依頼するだけであって、処分やリサイクルに関する責任まで負うことはありません。
ただし、不法投棄やミンチ解体を実施する可能性がある業者だと知りながら解体工事を実施した場合や依頼当時には不法投棄やミンチ解体を実施していると知らなかったが、工事の途中に不法投棄やミンチ解体を実施していることに気づいたにもかかわらず、工事を中断しなかった場合には、施主側の責任が問われ、何らかの罰則が与えられる可能性があります。
まとめ

今回は、ミンチ解体の違法性と環境への影響に関して説明してきました。ミンチ解体は、アスベストなどの危険物質の被害が不特定多数の人に及ぶ危険性があることや、埋立地の限界、循環型社会の推進など様々な側面から考慮された結果禁止されていることを十分に理解しておくとともに、少しでも怪しいと感じたら、依頼しないようにしてください。
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