名古屋市内で老朽化した家をどうにかしたいと考えている方は年々増えています。空き家を放置していると倒壊や火災のリスクも高まり、地域全体にも悪影響が及ぶことがあります。

しかし、家の解体には多額の費用がかかるため、なかなか手を出しづらいのも事実です。そこで注目されているのが、名古屋市の家屋解体に使える補助金制度です。

2025年現在、名古屋市では家の解体を後押しするための複数の補助金制度が整備されています。

今回は家の解体にかかる費用相場、名古屋市の補助金の詳細や申請方法について分かりやすく解説していきます。

名古屋市で家を解体する前に知っておきたいこと

名古屋市で家を解体する前に知っておきたいこと

家の解体に関する知識がないまま業者に依頼すると、後から思わぬ費用が発生したり、助成金の対象外になったりすることもあります。

補助金を活用するにあたって、基本的な知識をしっかり身につけておきましょう。

家の解体にかかる平均費用

家の解体費用は、建物の構造や立地、広さによって大きく異なります。

木造住宅の場合、平均的な解体費用は1坪3万円〜7万円が多く、鉄骨造の場合はそれよりも高く、1坪あたり3.5万〜8万円ほどが相場です。

鉄筋コンクリート造になるとさらに高額になり、場合によっては1坪あたり10万円以上かかることもあります。

また、アスベストなどの有害物質が含まれている場合には、別途費用が必要となります。

空き家や老朽住宅を放置するリスク

老朽化した住宅をそのままにしておくことには多くのリスクがあります。

まず、建物自体の倒壊によって、通行人や近隣住民に被害を与える可能性がある点です。また、古い建物は火災の原因にもなりやすく、地域の防災上の大きな問題となります。

さらに、害虫やネズミなどの住処になったり、不審者の侵入による治安の悪化を招いたりすることも考えられます。

また、近隣住民とのトラブルが発生したり、資産価値の低下を招いたりと、空き家の放置にはデメリットが多くあるのです。

補助金を活用するメリット

補助金制度を活用する最大のメリットは、やはり家の解体にかかる費用の負担が大きく軽減されることです。

数十万円単位の費用が戻ってくることもあるため、自己資金が少ない方でも解体を実行に移しやすくなります。

名古屋市の家解体で使える補助金

名古屋市では、家屋の解体に関する補助金制度が2つ用意されています。名古屋市が行っている制度「老朽木造住宅除却助成」と「戸建木造住宅除却助成」について詳しく紹介します。

老朽木造住宅除却助成

老朽木造住宅除却助成

名古屋市では、災害時の危険性が高いとされる古い木造住宅の解体を支援するため、「老朽木造住宅除却助成制度」を設けています。木造住宅の解体にかかる費用の一部が助成されます。

【対象となる住宅と地域の条件】

この助成制度の対象となるのは、昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅です。登記上、用途が居宅や共同住宅などと記載されている建物に限られます。

さらに、名古屋市が指定する木造住宅密集地域内に建っていることが条件です。

【助成を受けるための条件と注意点】

申請者は、その建物の所有者本人である必要があります。また、固定資産税や都市計画税に未納がないことも条件に含まれます。

注意すべき点として、解体工事を開始する前に市への事前相談と交付申請が必要です。交付決定通知を受け取る前に工事を始めてしまうと、助成を受けることができません。

【助成される金額について】

助成金額は、解体費用の見積額または延べ床面積に応じた基準額のいずれか少ない方の3分の1で、上限は40万円です。

基準額は、延べ床面積に9,600円を掛けた金額となります。例えば、延べ床面積が50平方メートルの場合、基準額は48万円となり、3分の1の16万円が助成される計算になります。

【申請から受け取りまでの流れ】

まずは、名古屋市の専用窓口に事前相談を行います。その後、解体業者から見積書を取得し、交付申請書を提出します。申請が受理され、交付決定通知が届くと解体工事着工です。

工事が完了したら、市に完了届と実績報告書を提出し、市が内容を確認後、請求書を提出することで助成金が支払われます。

参考リンク:https://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/page/0000071445.html

戸建木造住宅除却助成

戸建木造住宅除却助成

もう一つの制度である「戸建木造住宅除却助成」は、名古屋市が実施する無料の耐震診断で「倒壊の恐れがある」と判定された住宅を対象に、解体費用の一部を助成するものです。

【対象となる住宅の条件】

この制度の対象となるのは、昭和56年5月31日以前に建築された木造の戸建て住宅です。名古屋市が行っている無料の耐震診断を受け、その結果、耐震性能が1.0未満と判定された場合に助成の対象となります。

また、診断結果によって、住宅の倒壊リスクが高いと判断されたものも該当します。申請には、住宅が個人名義で所有されていなければなりません。

【助成される金額と計算方法】

助成金額は、見積もり額の3分の1または延べ床面積に9,600円を掛けた金額の3分の1の、どちらか少ない方となり、上限は20万円です。

例えば、延べ床面積が40平方メートルの住宅だった場合、基準額は38万4,000円となり、3分の1である約12万8,000円が助成されます。

【申請手続きの流れと注意点】

まずは無料の耐震診断を受けましょう。診断の結果に応じて助成対象かどうかが決まります。その後、解体業者から見積もりを取得し、市に事前相談と交付申請を行います。

工事は、交付決定通知を受けてから着手するという流れになります。工事完了後には実績報告書の提出が必要です。

参考リンク:https://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/page/0000150998.html

補助金を使って家解体をする際の流れ

補助金を使って家解体をする

実際に補助金を利用して解体工事を行う際には、順を追って準備を進めましょう。事前の準備やタイミングを間違えると、補助金の対象外になる場合もあるため注意が必要です。

ステップ1:利用制度の選定

まずは、自分の家がどの補助金制度の対象となるかを確認しましょう。住宅の構造や建築年、耐震診断の結果などによって、適用される制度が異なります。

名古屋市の公式ホームページや窓口での相談を通じて、該当する制度を明確にしておくことが重要です。

ステップ2:解体業者の選定

補助金の申請にあたっては、見積書の提出が必要となります。そのため、解体業者の選定も早い段階で行う必要があります。

名古屋市の制度を理解している業者であれば、スムーズな見積もりと手続きが期待できます。

ステップ3:制度の申請、工事着工

制度の選定と業者の決定が済んだら、申請手続きを進めます。

事前相談から申請書類の準備、交付決定通知の受領までは時間がかかることもあるため、スケジュールには余裕を持たせることが大切です。

交付決定後に契約・工事着工を行い、完了後には報告書類を提出して補助金の請求手続きを行います。

まとめ

名古屋市の建屋解体業者

名古屋市では、家の老朽化や空き家問題への対策として、解体にかかる費用を軽減する補助金制度を複数用意しています。

「老朽木造住宅除却助成」や「戸建木造住宅除却助成」といった制度を活用することで、経済的な負担を抑えつつ、地域の安全や環境美化にもつなげることができます。

制度の対象や申請条件は細かく定められており、事前相談や正確な手続きが不可欠です。解体を検討している方は、早めに動き出し、補助金を上手に活用して安心・安全な暮らしの一歩を踏み出しましょう。