みなさんは、杭抜き工事をご存じでしょうか。杭抜き工事とはその名の通り、地中に埋まっている杭を引き抜く工事のことです。

杭抜き工事は老朽化した建造物の撤去、土地の再利用において欠かせない工程ですがあまり知られていない工事です。今回は、杭抜き工事について紹介していきます。

杭抜き工事とは

杭抜き工事とは

杭抜き工事とは、冒頭でも述べた通り、解体工事の際に地中に埋まっている杭を引き抜き、埋まっていた部分を土などで埋め戻す工事のことをさします。

そもそも杭とは、地盤が弱いなどの理由で浅い基礎だけでは建物を支えられない場合に使用され、建物と地盤をしっかりとつなぎ、建物の強度を高める目的で地盤内に埋め込まれる棒状の鋼管やコンクリートのことです。

杭抜き工事は解体工事の際に絶対に実施が必要というわけではなく、建物解体工事後の土地活用のやり方次第で、あえて杭を残したままにしておくこともあります。

杭抜き工事にはかなりの費用がかかりますので、解体工事費用を抑えたいという場合にはこの工事をカットしてしまいがちですが、杭が残ったままだと、地価が下がり売却の際の価格が大幅に下がってしまう恐れがあります。

杭抜き工事の必要性

土地の再利用では、将来建設される建物のためにも地盤をきれいな状態に戻すことが理想とされています。仮に地盤内に杭が残置されてた場合、同一箇所に新たに杭を打つことができず、既存の杭を抜くか、残置したまま既存の杭の影響も考慮した上で新設工事の設計を行う必要がでてきます。

しかしながら、残置を繰り返せば土地のいたる箇所に杭が埋まっている状態になってしまい、新設工事が困難となるだけでなく、地盤がもろくなってしまうなどの危険性もあります。そのため、解体工事の際には杭を引抜いてきれいな状態に戻して行くことが大切になります。

杭抜き工事費用

杭抜き工事費用

杭抜き工事では、杭抜き費用、杭処分費、重機回送費、その他諸経費などといった費用が発生します。各費用について説明していきます。

杭抜き費用

地中に埋まっている杭を引き抜く作業にかかる費用のことで、1本あたりいくらという価格設定が多く、その単価×杭の本数で決まります。鋼管、コンクリートなどの一般的な杭の場合、1本あたり5万~10万円が相場で、木造の杭の場合には3万円ほどが相場になっています。

杭処分費

引き抜いた杭は産業廃棄物となるため、その処分にも別途費用がかかります。こちらも杭1本あたりの単価×本数で計算することになりますが、依頼した業者が処分を依頼する業者次第で価格も変動しますが、1本あたり約3,000円~5,000円程度が相場となっています。業者によっては、撤去した杭の運搬費用を含んでいる場合もあります。

重機回送費

杭抜き工事ではほとんどの工法で大型の重機が必要となりますが、重機は公道を自走することができないため、運搬車両が必要となります。この車両の手配にかかる費用相場が大体1回2万~2万5,000円となっています。ただし、依頼した業者が重機運搬のための車両をレンタルする場合には、別途レンタル代が上乗せされることもあります。

その他諸経費

作業員の人件費や重機の燃料代、杭の正確な位置や深さを特定するために使用する地中レーダー探査費用など、そのほか必要になる費用がまとめて見積書に記載されることがあります。

杭抜き工事が必要なケース

杭抜き工事が必要なケース

先ほども杭抜き工事は必須ではないことを説明しましたが、、杭抜き工事を実施したほうがよい、しなければならないケースもあります。それは、土地の売却を考えているケースと行政(自治体)が杭の残置を許可していないケースです。

土地の売却を考えているケース

新しい所有者が新築工事を考えている場合に、地中に杭が埋まったままであれば、工事の中断自由になったり、場合によっては工事を継続するために杭抜き工事を実施しなければならないなどの事態に陥る可能性があります。そうなると、工期が長くなることはもちろんですが、追加で高額な杭抜き工事費用が発生する可能性が高いです。

このように、売却後に買主に不利益になることが予想される事象は売却前に周知する必要があり、杭が残っていることが原因で土地の価格が下がってしまったり、買い手が中々決まらないということも十分に考えられます。杭抜き工事は高額になりがちですが、売却を考えているのであれば、解体工事と一緒にまとめて実施しておくのが無難です。

行政(自治体)が杭の残置を許可していないケース

杭を残す場合は行政に確認と許可が必要になる場合もあります。

杭は地中にそのまま残してしまうと産業廃棄物の扱いとなり、お住まいの自治体によっては所有地内であっても産業廃棄物を残しておくことが禁止されていることがあるため、杭抜きを実施しなければならないということになります。これを知らずに杭を残したままにしてしまうと、不法投棄の扱いを受け、行政罰や民事のトラブルに発展する恐れもあります。

杭抜き工事の流れ

杭抜き工事の流れ

①事前調査

まずは事前調査を実施します。既存図面の確認と地中状況調査を実施して、杭の本数や材質、深さを特定し、工事に向けた準備を実施していきます。場合によっては、地中レーダー探査などを実施します。この時に、図面確認では把握できなかった事情が判明した場合には、追加費用が発生する可能性もあります。

②杭抜き工事

事前調査が完了したら、実際に杭の引抜き工事を実施します。工事で採用する工法については立地条件や杭の種類、状態によって変わりますので、費用もそれぞれ変動することがあります。この時、杭の一部が地中に残ってしまうことがあり、残置したままだと前述のように不法投棄になってしまうこともありますので、きちんと撤去されたかどうか確認する必要があります。

③埋戻し・整地

杭の引抜き工事が完了したら、土などで杭があった部分の埋め戻しを行い、整地して工事は完了になります。整地まで完了したら次の工事などに進むことができます。一般的には、工事完了まで1~2週間かかりますので、見積、打合せなどを考慮すると1か月ほどですべて完了するスケジュール感になります。

まとめ

杭抜き工事について

今回は杭抜き工事について紹介してきました。杭抜き工事を実施するかどうかは解体工事後の土地活用の方法によってその必要性が大きく変わりますので、自身が今後どのように土地を利用していくかをきちんと考えた上で工事を実施するようにしてください。

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