両親が亡くなった後、実家をどうすべきか悩む方は少なくありません。特に遺品整理から解体工事に至るまでの過程は、「何から始めればいいのか」「どの順番で進めるべきか」が分かりにくく、戸惑うケースが多いものです。
今回は実家を整理し、取り壊すまでの一連の流れを分かりやすく紹介します。故人への思いを大切にしながら、無駄な費用を抑えるポイントも詳しく解説しますので、これから実家の片付けに向き合う方はぜひ参考にしてください。
遺品整理はいつ始める?適切なタイミング

遺品整理を始める時期に「絶対的な正解」はありません。ご遺族の心の状態や、物件の事情によって最適なタイミングは異なります。一般的には、以下の3つの時期が目安とされています。
葬儀後すぐに着手
葬儀後すぐに着手する場合は、賃貸物件などで早急な明け渡しが必要なケースに適しています。契約上の期限がある場合は、スピーディーな対応が求められます。
死亡届の提出や各種解約手続きが落ち着いてから
諸手続き完了後に取り掛かる方法もあります。死亡届の提出や各種解約手続きが落ち着いてから、じっくりと遺品整理に向き合えるタイミングです。
四十九日や一周忌のあと
四十九日や一周忌のあとに始める方も多くいらっしゃいます。心の整理がついてから、落ち着いて故人の思い出の品と向き合うことができます。
ただし、相続放棄を検討している場合は注意が必要です。遺品に手をつけると「単純承認」とみなされる可能性があるため、弁護士などの専門家に相談してから進めることをおすすめします。
遺品整理の基本的な流れ

遺品整理をスムーズに進めるためには、段階を踏んで計画的に進めることが重要です。以下の5つのステップを参考にしてください。
| ステップ | 内容 |
| 1. 遺言書・エンディングノートの確認 | 勝手に開封せず家庭裁判所で検認。故人の意思を尊重する |
| 2. 相続の判断 | 相続か放棄かを3ヶ月以内に決める |
| 3. 仕分け作業 | 「残す」「売る」「捨てる」で分ける |
| 4. 不用品の処分 | 自治体回収・買取業者・リサイクルショップを使い分け |
| 5. 形見分け | 遺族の合意を得て慎重に進める |
まず最初に、遺言書がないか探しましょう。遺言書が見つかった場合、勝手に開封せず、偽造や変造を防ぐために家庭裁判所で検認手続きを行います。故人の意思を尊重することが、トラブルを避ける第一歩です。
相続するか放棄するかの判断は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に決める必要があります。借金などマイナスの財産がある場合は、早めに専門家へ相談しましょう。遺品を「残すもの」「売るもの」「捨てるもの」の3つに分類します。この作業が遺品整理の中心となります。家族や親族と相談しながら、慎重に進めましょう。
不要と判断したものは、自治体の回収サービス、買取業者、リサイクルショップなどを使い分けて処分します。処分方法によってコストや手間が大きく変わります。残すと決めた品物の中から、親族で形見分けを行います。遺族全員の合意を得ながら、慎重に進めることが大切です。
なお、通帳や保険証書、不動産関連書類などの重要書類は最優先で確保してください。判断に迷うものは一旦保留にし、後日改めて検討する方法も有効です。
不用品の処分・買取方法

遺品整理で出た不用品は、「捨てる」「売る」「譲る」の3つの方法で処理します。それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けましょう。
売る場合は、貴金属や着物、骨董品、ブランド品などの価値があるものは専門業者に査定を依頼します。思わぬ高値がつくケースもあるため、処分する前に一度査定を受けることをおすすめします。
捨てる場合は、お住まいの自治体のゴミ分別ルールを確認してください。粗大ゴミは事前申請が必要な地域がほとんどです。不燃ゴミや可燃ゴミも分別を守って処分しましょう。
譲る場合は、親族や知人への形見分けも有効な方法です。故人の思い出の品を大切にしてくれる人に譲ることで、心の整理もつきやすくなります。
時間がない方や体力的に厳しい方は、遺品整理業者にまとめて依頼する方法もあります。仕分けから処分、清掃まで一括で対応してくれるため、遠方に住んでいる方にも便利です。
ただし、悪質な業者の中には高額な処分費を請求するケースもあります。依頼する際は、古物商許可を取得しているか、見積もりが明確かを必ず確認してください。複数社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
私たちウラシコは古物商の資格を有しておりますので遺品整理も対応可能です。お気軽にお問い合わせください。
遺品整理後に行う解体準備

遺品整理が完了したら、家の状態をチェックしましょう。老朽化が進んでいる場合や、今後も空き家状態が続く見込みなら、早めに解体を検討することが重要です。
なぜ遺品整理を先に済ませるべきなのでしょうか。その理由は、残置物がある状態で解体工事を依頼すると、産業廃棄物として処理されるため費用が大幅に高くなるからです。遺品整理の段階で不用品を適切に処分しておけば、解体工事の見積もりを安く抑えられます。
解体業者に依頼する前に、以下の点を確認しておきましょう。
まず、不動産の名義変更が完了しているかを確認します。相続手続きが済んでいない状態では、解体工事の契約ができない場合があります。次に、解体後の土地利用について方針を決めておきます。売却するのか、駐車場として活用するのか、新築を建てるのかによって、整地の方法や費用が変わってきます。
また、近隣への挨拶や電気・ガス・水道などのライフライン停止の時期についても、事前に計画を立てておくとスムーズです。特に近隣への配慮は、工事中のトラブルを防ぐために欠かせません。解体業者に代行を依頼できる場合もありますので、必要であれば相談してみましょう。
解体工事の流れと注意点

解体工事は、以下のような流れで進みます。
まず、複数の解体業者に見積もりを依頼します。1社だけでなく、2〜3社程度から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較しましょう。次に、現地調査を経て契約を結びます。この際、見積書の内訳をしっかり確認してください。処分費、人件費、重機費用などが明記されているかチェックが必要です。
契約後は、工事開始前に近隣への挨拶を行い、電気・ガス・水道などのライフラインを停止します。これらは解体業者が代行してくれることもありますが、事前に確認しておきましょう。その後、解体工事が始まり、廃材の適切な処理が行われます。工事期間中は騒音や粉塵が発生するため、近隣への配慮が重要です。
最後に、更地の状態を確認し、整地が完了すれば工事終了です。
注意点として、残置物があると追加費用が発生します。遺品整理の段階でしっかり片付けておくことが、解体工事の費用を抑える最大のポイントです。また、見積書には必ず詳細な内訳を記載してもらい、後からトラブルにならないよう注意しましょう。
まとめ

遺品整理から解体工事までの流れは、心の整理と実務の両方を丁寧に進めることが大切です。3つの目安を参考に、適切なタイミングで遺品整理を始め、不用品を処分し、解体準備に進むことで、トラブルや余計な費用を防ぐことができます。
一人ですべてを抱え込む必要はありません。遺品整理業者や解体業者に相談することで、精神的にも身体的にも負担を軽減できます。信頼できる業者を選び、見積もりや契約内容をしっかり確認しながら進めましょう。
ウラシコは、内装解体、原状回復工事を中心に、不動産会社さんから依頼を受けた遺品整理や片付けにも対応しています。ぜひご相談くださいね。実家を片付け、取り壊すという作業は、故人を偲び、感謝の気持ちを込める大切な時間でもあります。焦らず、ご自身のペースで一つひとつ丁寧に向き合っていくことをおすすめします。

