両親や親戚から空き家を相続したものの利用する予定もないため、「解体して更地にしてしまえば早く売れるのではないだろうか」と考えている方も多いのではないでしょうか。
不動産会社や近所の人からも「更地にしたほうが買い手がつきやすい」と言われることがあります。しかし、実際には更地にしても売却がスムーズに進むとは限らず、かえって費用や税負担が増えて損をしてしまうケースもあります。
解体前に知っておくべき注意点や落とし穴、そして更地にしないままで売却する方法について詳しく解説します。またこちらの内容は以下のYouTube動画でも詳しく解説しています。動画をご覧になりたい方はぜひこちらもご参照ください。
空き家を更地にすれば必ず売れるわけではない理由
空き家を解体して更地にすれば、土地を購入する人が自由に家を建てやすくなるため、買い手が増えると考えるのは自然なことです。しかし、不動産の売買は単純ではなく、地域や土地の条件によっては更地が必ずしも有利とは限りません。むしろ建物付きのままのほうが売却しやすい場合もあります。
「更地=高く売れる」という思い込みの背景
多くの人が更地のほうが売れると考える理由は、不動産会社からの提案や周囲の声による影響が大きいのです。解体を依頼すると解体業者も利益が出ますし、不動産会社も整った土地のほうが販売しやすいと説明する場合があります。
しかし実際には、買主は古家を取り壊して自分好みの家を建てたいと考えることもあれば、既存の建物をリフォームして使いたいと考える場合もあります。つまり、売却の成否は更地かどうかだけで決まるわけではないのです。
更地にすると逆に売れにくくなるケース
更地にすることで土地の魅力が下がってしまうことがあります。たとえば、古家付きの土地は再建築しやすく、建物を残すことで購入後のリフォームが可能です。都市部では、古家を利用して賃貸物件にしたい買主や、建物の一部を活かして住みたいと考える人が一定数います。
また、解体したことで土地の地盤の弱さや法規制の問題が露見し、かえって買い手が避けてしまうこともあります。結果として、解体費用だけがかかり、売却が長引くリスクが生まれるのです。
更地にすることで生じるデメリット
更地にする前には、費用や税負担がどのように変わるのかを理解しておくことが重要です。解体後の土地は一見すっきりしますが、そこには隠れたデメリットがいくつもあります。
解体費用が高額になり、売却益が減少する
解体工事には数十万円から数百万円の費用が必要です。木造住宅の場合でも100万円前後、鉄骨やRC造(鉄筋コンクリート造)の場合はさらに高額になります。
加えて、解体作業中に地中から廃材やコンクリートなどが見つかれば追加費用が発生します。これらの費用は売却価格から差し引かれることになり、結果的に手元に残る利益が少なくなるのです。
固定資産税が高くなる可能性
建物が建っている土地は住宅用地の特例が適用され、固定資産税が軽減されています。しかし、建物を取り壊すとこの特例が使えなくなり、税負担が一気に上がります。
解体後にすぐ売れれば問題ありませんが、売却が長引くと毎年の固定資産税だけが増えていきます。思わぬ出費に悩まされるケースも少なくありません。
売却期間が長引くリスク
更地にしたからといって必ず買主が現れるわけではありません。土地の立地や周辺環境がネックとなり、買い手がつかないこともあるでしょう。その間も管理や税金の支払いが続くため、経済的な負担だけでなく精神的な負担も大きくなります。
空き家を解体せずに売却する方法
更地にする前に、建物を残したまま売却できる方法を知っておくと、余計な費用をかけずに済むことがあります。ここでは、現状のまま売却する3つの方法を紹介します。
1.現状のまま「古家付き土地」として売る
建物が古くても取り壊さずにそのまま売却することが可能です。購入した人がリフォームや建替えを自由に行えるため、むしろ買主にとってメリットになる場合があります。建物の状態がまだ使える程度であれば、解体費用を負担しなくて済むため、売却後の利益を確保しやすくなります。
2.不動産会社による買取を利用する
仲介ではなく不動産会社が直接買い取ってくれるサービスを利用すると、短期間で現金化できます。価格は市場価格より下がりますが、解体や売却活動にかかる時間や費用を削減できるため、早く手放したい人には有効な選択肢です。
3.空き家管理サービスを利用しながら売却活動を進める
遠方に住んでいて空き家を管理できない場合は、管理サービスを利用しながら売却活動を進める方法があります。建物の状態を保つことで買主に良い印象を与え、売却を有利に進められることがあります。解体に踏み切る前に、こうしたサービスを活用することも検討してみましょう。
解体が必要になるケースと見極め方
中には解体が避けられないケースもあります。解体が必要かどうかを見極めるには、専門家の判断が欠かせません。解体を検討すべき主な状況を紹介します。
建物が老朽化し安全面で危険な場合
空き家の老朽化が進み、倒壊や火災の危険がある場合は、早めの解体を検討するべきです。安全面のリスクが大きいと売却が難しくなるだけでなく、所有者の管理責任が問われることもあります。
特に屋根や壁が崩れかけている建物は、リフォームを予定している買主も避けることがあるため、解体後のほうが売却しやすくなります。
土地の利用制限や再建築不可の可能性がある場合
解体した後に新しい建物を建てられない土地の場合、更地にすると価値が下がることがあります。再建築不可の土地では建物を残したままのほうが買主が見つかりやすいのです。解体する前に建築士や不動産会社に相談し、将来的に建物を建てられるかどうかを確認してみましょう。
専門家に相談してから解体を判断する
解体の必要性を正しく判断するためには、不動産会社や解体業者、行政の無料相談などを利用しましょう。専門家に相談することで、解体後のリスクや最適な売却方法が見えてきます。一つの意見だけで決断せず、幅広く情報を集めることが損をしないための第一歩です。
私達ウラシコでも空き家の更地化や古家付き土地としての売却のサポートを行っております。信頼できる不動産業者のご紹介もしておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
解体前にやっておきたいチェックリスト
解体を決断する前に、必要な準備をしておくことで無駄な費用やリスクを避けられます。ここでは、重要な4つのポイントを順番に解説します。
1.不動産査定を複数取る
1社だけでなく複数の不動産会社から査定を受けることで、土地の価値や売却価格の相場がわかります。現状のまま売った場合と更地にした場合の価格差を把握でき、より正しい判断がしやすくなります。
2.解体費用の見積もりを確認
解体業者によって費用は大きく異なります。契約前に必ず見積もりを取り、追加費用が発生する可能性についても確認しましょう。解体後の収支シミュレーションを行うことで、損益の把握もできます。
3.固定資産税や売却後の税金シミュレーション
解体すると固定資産税が高くなることがあります。また、売却後には譲渡所得税も発生するため、税理士や不動産会社に相談して税金の見通しを立てることが重要です。
4.買取や現状売却の選択肢を比較
解体以外にも不動産会社による買取や古家付きのままの売却など複数の方法があります。それぞれのメリット・デメリットを比較し、もっとも負担が少なく利益が残る方法を選びましょう。
まとめ
空き家を更地にすれば必ず高く売れるというのは誤解です。解体には高額な費用がかかり、固定資産税の負担が増えるなど、思わぬ落とし穴があります。現状のまま売却したほうが有利になる場合も多く、解体は慎重に判断しなければなりません。
まずは不動産会社や解体業者などの専門家に相談し、建物を残すか解体するかを冷静に検討しましょう。もちろん私達ウラシコにもお気軽にご相談ください。空き家解体に関するお見積りやご相談は無料で対応させていただいております。