解体工事では、どうしても騒音や振動が発生してしまいます。特に住宅地などでは、大きな音や揺れが問題となりやすいため、事前の対策や近隣住民の皆様への配慮が欠かせません。しっかりと対応することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
そこで今回は、解体工事で発生する騒音や振動の実態、そして近隣住民の皆様への適切な対応方法について詳しく解説します。
解体工事の騒音や振動には基準がある
解体工事の音や振動はゼロにすることはできません。しかし、騒音規制法や振動規制法によって、一定の基準があります。解体工事で上記の基準を超える騒音や振動を出した場合、行政から指導を受けることがあります。
- 騒音:85デシベル
- 振動:75デシベル
ちなみに、70デシベルはステレオの音など騒がしさを感じるレベル、80デシベルは地下鉄の社内やピアノの音のレベル、90デシベルはカラオケボックスの室内のレベルです。つまり、多くの人が大きな音や振動だと認識し、不快を覚えるレベルであることが分かります。
騒音や振動の受忍限度
どれぐらいの騒音や振動に耐えられないかは、個人によって異なります。日常生活を送る以上、自分もまったく騒音や振動を出していないとはいえません。特に集合住宅では、隣や上下の部屋から出る振動や騒音に対して、ある程度大らかになる必要があります。
解体工事での騒音や振動についても、受忍限度があります。基本的には、先ほどご紹介した騒音:85デシベルおよび振動:75デシベルを越えなければ、受忍限度内と判断されるでしょう。受忍限度内の騒音や振動に関するクレームについては、近隣住民の皆様との話し合いなどで解決するのが一般的です。
解体工事の騒音・振動でクレームになりやすい理由は?
ここでは、解体工事の騒音や振動がなぜクレームになりやすいのか、主な理由について見ていきます。
夜勤の人が眠れない
解体工事は、基本的に日中に行われます。日中は、仕事などで留守にしている人が多い一方で、夜勤の人が寝ている時間帯です。そのため、夜勤の人から眠れなくて困るといったクレームが入ることがあります。
解体工事自体は数日程度で終わるケースが多いため、ただちに慢性的な睡眠不足にはつながりにくいといえます。しかし、たとえ数日であっても、眠れないつらさは相当なものですから、クレームにつながってしまうのです。
子どもが起きてしまう
子どもが起きてしまうのも、近隣住民の皆様からのクレームでよくあるパターンです。未就学児は、多くの場合、お昼寝をします。しかし、大きな騒音や振動で眠れない、せっかく寝付いたのに起きてしまったといったことになりがちです。
子どもにとって、睡眠は成長に欠かすことができません。また、睡眠不足は、子どもの精神状態に悪影響を与えます。親がクレームを入れるのも、理解できることです。
振動により建物や家財のダメージが心配
解体工事での大きな振動で、建物や家財のダメージが心配になる人もいます。たとえば、食器類のコレクターにとって、振動は大敵です。また、長時間振動が続くと、家自体がダメージを受けるのではないかと不安になる人もいます。騒音と同じく、振動についても十分な対策が必要なのです。
解体工事の騒音や振動による近隣への対処法
解体工事の騒音や振動へのクレームを予防するためにも、以下のような方法で対処するとよいでしょう。
事前に作業スケジュールを通知する
まずは、必ず事前に作業スケジュールを通知しましょう。これはクレームの抑止に直結するため非常に重要な行程です。この作業は解体業者が行う場合がほとんどですが、場合によっては施主自ら対応しても何ら問題はありません。解体業者といっしょに周ることでより確実です。
ただし、作業スケジュールを近隣住民の皆様に伝えるタイミングは、遅くとも解体工事開始予定日の1週間前までが適切です。直前に通知すると、非常識だと認識されてしまうことがあるので、注意しましょう。
騒音・振動対策をきちんとしてくれる業者選び
騒音や振動の対策は、工事を行ううえで非常に重要なポイントです。近隣トラブルを避けるためにも、対策を徹底している業者を選ぶことが大切です。
たとえば、
- 養生シートや防音パネルの設置をしているか
- 作業時間を配慮しているか(早朝・深夜を避けるなど)
- 事前に近隣への挨拶・説明を行っているか
- 作業員のマナーや対応に気を配っているか
といった点を確認すると、信頼できる業者かどうかを見極めやすくなります。単に「安いから」という理由で業者を選んでしまうと、結果的に近隣との関係悪化や追加対応による費用増など、思わぬトラブルを招くことがあります。
近隣住民の皆様から解体工事の騒音・振動でクレームになった場合の対処法
解体工事は、どうしても騒音や振動が発生してしまうため、近隣からクレームを受ける可能性もあります。そんなとき、依頼者として慌てず、冷静に対応することが大切です。以下のポイントを押さえておきましょう
まずは謝罪を
もし施主様本人にクレームが届いてしまった場合は、大変恐れ入りますが、業者任せにせず、施主としても直接お詫びを伝えていただけますと幸いです。「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と伝えいただくだけでも、相手の気持ちが和らぐことがあります。その後、業者に状況を細かく伝えましょう。
解体業者に状況をすぐ共有・相談
クレームの内容を正確に把握し、すぐに解体業者に伝えましょう。業者側で対応可能な範囲(作業内容の調整、防音対策の追加など)があるかを相談し、できる対策は早めに講じてもらうことが大切です。
今後の対応策を業者に伝えてもらう
今後の対応策について、近隣の方にきちんと伝えることも大切です。そのためには、解体業者に依頼し、どのような配慮を行うのかを具体的に説明してもらうようにしましょう。業者から直接説明があることで、相手の不安も和らぎ、信頼回復につながります。
まとめ
解体工事をスムーズに進めるには、近隣住民の皆様の理解と協力が不可欠です。騒音・振動対策に加え、事前のスケジュール共有や影響の説明など、誠意ある対応が信頼につながります。
信頼できる業者は、工事前の丁寧な挨拶を欠かしません。結果としてトラブルを防ぎ、工事も円滑に進められます。私たちウラシコも、多くの現場で丁寧な対応を大切にしてきました。ご不安な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。