皆様こんにちは!ウラシコです。相続や転居などをきっかけに、空き家を所有することになったものの、「今すぐ壊すのは早いのでは」「将来、使うかもしれない」と考えて、そのまま放置している人は少なくありません。
しかし、空き家は時間とともに劣化が進み、さまざまなリスクを抱える存在になります。そこで今回は空き家の解体に最適なタイミングと、放置することで生じるリスクについて、わかりやすく解説してみます。
またこちらの記事の内容はYouTubeでも詳しく解説しています。動画でチェックされたい方はぜひこちらもご参照ください。
空き家を解体すべき判断基準とは
空き家の解体には費用がかかるため、すぐに決断できないのが現実です。しかし、状況によっては早めに動いたほうが良い場合もあります。まずは解体を検討すべきタイミングについて詳しく見ていきましょう。
建物の老朽化が進んでいるとき
築年数が40年以上経っている住宅は、建材や設備の寿命を迎えていることが多く、修繕にも多額の費用がかかる可能性があります。また、シロアリの被害や雨漏りが見られるようになったら、早めに解体を検討すべきサインといえるでしょう。
建物の調査を業者に依頼することで、客観的な判断材料も得られるのでおすすめです。売るつもりがなかったとしても、不動産管理会社や解体業者など様々な業者に相談することで判断材料を得ることができます。
空き家が遠方にあり誰も管理できない
今後誰も住む予定がない場合、空き家を維持することはコスト面でも精神的にも負担になります。特に遠方に住んでいると定期的な管理も難しく、気づかないうちに劣化が進んでしまうことも。こうしたケースでは、思い切って解体し、土地を更地として管理するという選択をアリだと思います。
売却・利活用の見込みがないとき
売却を考えているものの、立地や状態の関係で買い手がつかない、あるいは賃貸にも適さない場合は、空き家を維持する理由が薄れてきます。特に、古い家屋が建っていることで売却価格が下がる場合もあるため、解体して更地にすることで資産価値が上がる可能性もあります。
空き家の放置が招く5つのリスク
空き家は、使わないからといって放置しておくと、さまざまなトラブルの原因になってしまいます。実際に私達に寄せられたトラブルのご相談の中から、空き家を放置することによる代表的な5つのリスクを紹介します。
倒壊・破損による事故
老朽化が進んだ空き家は、倒壊や破損による事故のリスクが高まります。特に日本の代表的な建築様式である木造住宅は、柱や壁の腐食が進行しやすく、屋根が落ちたり外壁が剥がれたりといった危険が現実に起こりえます。
これが近隣の建物や歩行者に被害を与えると、損害賠償の責任を問われる可能性もあります。また災害時の被害拡大要因にもなることから、地域にとっても大きな問題となるのです。外観上問題がなさそうでも内部が著しく劣化しているケースもあるため、早めに状態を確認することが重要です。
不法侵入・放火など治安の悪化
空き家は人の出入りがないため、不審者が目をつけやすい場所になります。空き巣や不法投棄、不審火などの被害が発生するリスクが増えることから、近隣住民からの通報や苦情につながってしまうこともあります。
特に放火については非常に注意が必要です。誰の目にも触れにくいため放火の標的になりやすく、地域全体を危険にさらしてしまうことも。法侵入によって家屋が荒らされ、修復困難な状態になるケースもあります。
害獣・害虫の発生
管理されていない空き家は、ネズミやイタチ、ハクビシンなどの害獣が住みつきやすくなります。さらに湿気や腐敗した食品の残骸があると、ゴキブリやシロアリ、ハチといった害虫の発生源となる場合もあるでしょう。
これらは家屋をさらに傷めるだけでなく、隣接する住宅にも影響を与えるため、近隣トラブルにつながりやすい問題です。害獣・害虫対策には費用がかかる上、完全駆除も難しいため、被害が出る前の対応が望ましいといえます。
固定資産税の優遇解除
住宅用地には固定資産税の軽減措置があり、通常の税額より大幅に安くなっています。しかし、空き家が老朽化し、倒壊の危険性があると判断されると「特定空家」に指定され、この優遇が解除されてしまいます。結果として、税額が倍以上に増加することも。
建物があることで固定資産税を抑えているつもりでも、特定空家に指定されることで逆に負担が増える恐れがあります。解体による更地化は、そうしたリスクを避ける有効策と言えるのです。
景観の悪化による近隣からの苦情やトラブル
空き家が荒れたまま放置されると、外観の悪さが近隣の景観に悪影響を及ぼします。草木が生い茂って道に飛び出していたり、壁や屋根の一部が崩れていたりすると、住民の安全面にも不安を与えてしまいます。
こうした状態が続くと、「管理されていない家がある」というイメージが地域全体に広がり、資産価値の低下や自治体からの指導対象にもなりかねません。空き家を放置することは、近隣との信頼関係を損なう大きな要因となります。
空き家を解体にせず残す判断基準は
ここまで読むと、空き家を「いっそ更地にした方がいいのでは」と考える方が多いと思います。しかし、何も考えずに解体してしまうと、税金の負担増や予想外の出費、そして売却価格の伸び悩みなど、思わぬデメリットに直面することがあります。空き家を残しておくべき判断基準になるものをご紹介します。
更地にすると固定資産税が増える
更地にすると、固定資産税が一気に跳ね上がるケースがあります。これは「住宅用地の特例」が使えなくなるためです。建物がある土地には、固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に減額される特例が適用されますが、更地にするとこの優遇がなくなります。
場合によっては固定資産税が最大6倍になることもあります。特に、市街化区域にある土地では都市計画税が満額かかるため、見落とさないよう注意が必要です。
解体費用が高額
更地にするには、当然ながら解体費用が発生します。木造住宅でも100万円前後、鉄骨造やRC造になると数百万円かかることもあります。さらに、アスベストが見つかれば追加費用が必要です。
補助金制度が使える場合もありますが、全額が補助されるわけではなく、自己負担は避けられません。解体に伴う出費は事前にしっかり見積もっておくことが大切です。
更地にしたからといって売却価格が必ずしも上がるとは限らない
更地にすれば見た目がスッキリして売れやすいというイメージがありますが、必ずしも売却価格が上がるとは限りません。実際には、古家付き土地や現況渡しのままでも十分に売れるケースが多くあります。特に、安く住宅を手に入れたい人や、レトロな家をリノベーションしたい買い手も存在します。
また、現況渡しにすれば、売主が解体費を負担する必要がなく、買主が自由にリフォームや解体を選べます。事前に解体費用分を値引きして売却し、買主が実費で解体するという方法も一般的です。
売却を検討している場合は、不動産会社や解体業者と相談し、「現況のまま売るか、更地にするか」を慎重に判断することが重要です。
空き家の解体にかかる費用と補助金制度
とは言え、解体を検討する際、最も気になるのが費用面です。ここでは、名古屋市を例にとって、解体費用の目安と補助金について紹介します。
一般的な木造住宅の解体費用の相場
木造住宅の解体費用は、構造や敷地の広さによって異なりますが、1坪あたり3万円〜5万円程度が大まかな相場です。延床面積30坪の木造住宅であれば、約90万円〜150万円程度が目安になります。これに加えて、廃材の処分費や付帯工事費用がかかるケースもあります。
補助金の活用で負担を軽減
名古屋市では、一定の条件を満たす老朽住宅に対して、「老朽木造住宅除却助成」や「戸建木造住宅除却助成」といった制度が設けられています。これらは、耐震性が不十分で周辺に危険を及ぼす可能性がある住宅の解体を支援するもので、申請が通れば数十万円の補助を受けられる場合があります。
申請には事前調査や書類提出が必要となるため、空き家解体を検討している場合は早めに市の担当窓口に相談をしましょう。補助金の申請方法や流れについては以下のコラムをご参照ください。
空き家の解体で後悔しないための準備とは
最後に空き家でトラブルを無くして、スムーズに進めるために、施主様が準備しておくべきことをご紹介します。いざ解体を決めても、準備不足でトラブルになるケースもあります。スムーズに解体を進めるためには、事前に行っておくべきことがいくつかあります。
家族や相続人との相談
空き家が相続物件である場合、所有者が複数人いることもあります。勝手に解体を進めると、「聞いていない」と揉める原因になるため、あらかじめ話し合いの場を持ち、全員の同意を得たうえで手続きを進めることが大切です。
業者への事前相談と見積もり取得
解体工事は業者によって費用や対応が異なるため、実績や費用、対応態度など複数社を比較し選びましょう。また、近隣住民への説明や騒音・振動対策についてもしっかり確認しておくと安心です。信頼できる業者を選ぶことが、後悔しない解体への第一歩になります。
残置物の処理計画も忘れずに
家の中に残された家具や家電、日用品などは「残置物」と呼ばれ、原則として所有者側で処分しなければなりません。処分には時間と費用がかかるため、できるだけ事前に整理しておくことがスムーズな進行につながります。不用品回収業者の利用も選択肢のひとつです。
まとめ
空き家は、時間が経てば経つほど劣化が進み、解体費用もリスクも増していきます。「いつかやろう」と後回しにするのではなく、「今」動き出すことで、費用や手間を最小限に抑えることができます。
将来的に活用の予定がない場合は、早めの決断が安心につながるはずです。まずは信頼できる業者や行政に相談し、自分にとって最適な選択を見つけてみましょう。もちろん空き家解体のご相談は私達ウラシコにもお気軽にご相談ください!