「実家の空き家を売却したいけど、解体するべき?このまま売れるの?」「現況渡しや更地渡しってよく聞くけど、どう違うの?」空き家を持っているが住む予定もなくどうすればいいか分からず、そのまま放置してしまっている方も多いのではないでしょうか。
空き家をそのままにしておくと、資産価値が下がるだけでなく、維持費がかかったり、倒壊リスクで近隣に迷惑をかけたりと、様々な問題に発展する可能性があります。そのため、解体したり売却したりと何かしらの対応をしなければなりません。
空き家を売却する際には、大きく分けて「現況渡し」と「更地渡し」という2つの方法があります。それぞれの特徴を理解すれば、ご自身の状況に合った選択肢が見えてきます。
今回は空き家売却における「現況渡し」と「更地渡し」について、プロの視点からメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
「現況渡し」「更地渡し」とは?
空き家売却でよく耳にする「現況渡し」「更地渡し」とはどのようなものなのでしょうか。分かりやすく解説していきます。
現況渡しとは?
現況渡しとは、空き家を解体せずに、そのままの状態で買主に引き渡す売却方法です。建物にまだ住める状態であれば、買主はリフォームをして住むことを検討できます。また、投資家や不動産業者が建物を活かして事業を行う目的で購入することもあります。
ただし、建物の中にある家具や家電、衣類などの残置物は、原則として売主が撤去しなければなりません。「現状」のまま渡すからといって、家の中の物をそのままにしていいわけではない点に注意しましょう。
更地渡しとは?
更地渡しとは、空き家を解体し、建物がない状態(更地)にしてから買主に引き渡す売却方法です。売主が解体費用を負担し、解体工事から整地まで行います。
買主は、建物のないまっさらな土地を購入するため、自由に建物を建てたり、駐車場などの別の用途で利用したりできます。新しい建物の建築を前提としている個人や、土地開発を目的とした不動産会社などが主な買主となります。
現況渡しと更地渡しのメリット・デメリット
ここからは、「現況渡し」と「更地渡し」それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
「現況渡し」のメリット・デメリット
メリット1.解体費用がかからない
現況渡しの最大のメリットは、建物の解体費用を負担しなくて済むことです。木造の空き家であっても、解体費用は100万円前後かかることが一般的です。まとまった費用を用意できない場合や、売却にかかる初期費用を抑えたい場合におすすめな選択肢となります。
メリット2.売却までの期間が短い
解体工事には、1ヶ月から数ヶ月かかることも珍しくありません。現況渡しであれば、解体工事の期間を省くことができるため、スピーディーな売却が可能です。急いで現金化したい場合や、早く手放したいという場合に適しています。
メリット3.既存の建物を活かしたい買主にアピールできる
古民家や風情のある建物の場合、リノベーションやリフォームを前提に建物を活かしたいと考える買主にとっては魅力的です。また、賃貸物件として活用したい投資家など、買い手の選択肢が広がる可能性もあります。
デメリット1.買い手が限られる可能性がある
建物の状態が悪い場合や、再建築ができないような物件は、買い手が見つかりにくくなります。また、建物の老朽化が進んでいると、売却価格が低く設定されてしまうケースも少なくありません。
デメリット2.売却価格が低くなる可能性がある
買主は、建物のリフォームやリノベーション、または解体にかかる費用を見込んで、値下げ交渉をしてくる可能性があります。結果的に、解体費用はかからなくても、当初想定していたよりも手取りが少なくなる場合があるでしょう。
デメリット3.「契約不適合責任」のリスク
現況渡しの場合、売却後に建物の欠陥(雨漏り、シロアリ被害、建物の傾きなど)が発見されると、売主が契約不適合責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任とは、契約内容と異なる物件を引き渡した場合に、売主が責任を負うというものです。売買契約書に特約を盛り込むことでリスクを軽減することはできますが、リスクがゼロになるわけではありません。
「更地渡し」のメリット・デメリット
メリット1.買い手が広がる
建物がない状態の土地は、用途を問わないため、買い手の層が格段に広がります。新しい家を建てたい一般の方から、アパートやマンションを建設したい不動産開発業者まで、幅広い層にアピールできます。競争相手が多くなることで、より高値で売却できる可能性も高まります。
メリット2.高値で売却できる可能性がある
建物がない土地は、その土地本来の価値が正当に評価されやすくなります。建物の状態に左右されることなく、周辺の土地相場に近い価格での売却が可能です。
メリット3.契約不適合責任のリスク回避
建物がないため、売却後に建物の欠陥に関するトラブルが起きる心配がありません。売却後の余計な心配や精神的な負担を軽減できます。
デメリット1.解体費用がかかる
更地にするためには、売主が解体費用を負担しなければなりません。解体費用は建物の構造(木造、鉄骨、RC造)、床面積、立地条件などによって大きく変動します。
デメリット2.売却期間が長くなる
解体工事や、土地の境界を確定させるための測量に時間がかかるため、引き渡しまでにある程度の期間を要します。急いで売却したい場合には不向きな方法です。
デメリット3.固定資産税が高くなる可能性がある
住宅が建っている土地は、「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が安くなります。しかし、建物を解体して更地にすると、この特例が適用されなくなり、翌年から固定資産税が跳ね上がってしまう可能性があるのです。
売却がスムーズに進まなかった場合、その間の税金負担がかかるリスクがあることを理解しておきましょう。
現況渡しと更地渡しのどちらを選ぶべき?
「現況渡し」と「更地渡し」のどちらが良いかは、物件の状況や売却の目的によって異なります。ここでは、いくつかのケースを例に、最適な選択肢を考えてみましょう。
築浅で状態が良く、立地も良い空き家
建物の価値がまだ残っているため、リノベーション需要が見込めます。この場合は、「現況渡し」も有効な選択肢となります。解体費用をかけずに売却できる可能性が高いでしょう。
築年数が古く、老朽化が激しい空き家
建物の価値はほとんどなく、むしろ解体費用を考慮しないと買い手がつかない可能性が高いといえます。この場合は、「更地渡し」が良いでしょう。解体して更地にすることで、土地の価値が正当に評価され、スムーズな売却につながります。
相続で急いで売却したい空き家
売却を急いでいる場合は、解体工事の期間を省ける「現況渡し」がおすすめです。ただし、売却価格が安くなってしまう可能性も考慮しておきましょう。
将来の固定資産税を抑えたい場合
もし売却まで時間がかかっても構わないのであれば、住宅用地の特例を適用させたまま売りに出し、買主が決まってから引き渡しまでの期間に解体を行うという方法もあります。
このように、空き家の売却方法には様々な選択肢があります。「空き家がどんな状態か?」「あなたはいつまでに、いくらで売却したいか?」を明確にした上で、対応方法を選ぶようにしましょう。
空き家問題解決の第一歩はプロへの相談!
「現況渡し」「更地渡し」にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらか一方が必ずしも正解というわけではありません。
自己判断だけで売却方法を決めてしまうと、思わぬ損失を被ってしまうリスクがあります。特に、解体工事は専門的な知識が必要です。解体費用が想像以上に高くなったり、予期せぬトラブルが発生したりする可能性もゼロではありません。
だからこそ、空き家の売却を検討する際には、解体や不動産売却のプロに相談してみるのがおすすめです。もちろん私達ウラシコにもお気軽にご相談ください。